研究課題
本研究は、性別と遺伝情報に基づいた副作用と生活習慣病リスクの層別化を目的とする。研究成果1.日本薬剤師会Drug Event Monitoring事業(薬剤師による使用中医薬品の副作用聞き取り調査)の熊本県下データ約3万例のサブグループ解析を行った。調査対象医薬品7種類中5種類(プロトンポンプ阻害薬、カルシウム拮抗薬、吸入ステロイド、スルホニルウレア、DPP4阻害薬)で、女性が有意な副作用発現リスクであった。しかし、いずれの副作用も年齢や生活習慣等で層別化して初めて有意差を認め、潜在する副作用の性差を明らかにするためには多角的な検討が不可欠であることを示した。研究成果2.人間ドック受診者、糖尿病・心血管疾患・統合失調症患者、約2,500例を対象として各病態の性差について横断的研究、症例対照研究、縦断的研究を行った。まず“女性”が糖尿病性網膜症・腎症の危険因子であり、その要因として主婦は健康診断の受診率が低く糖尿病の発見が遅れがちであること、治療開始後も女性では脂質コントロールが不十分であることが示された。さらに喫煙は、糖尿病女性でのみ動脈硬化や心血管疾患発症の有意な危険因子であった。加えて、チトクロームP450 2C19、グルタチオン転移酵素M1、アルデヒド脱水素酵素2等の遺伝的活性欠損が、女性でより有意に糖尿病性細小血管障害や冠動脈攣縮の危険因子となっていた。以上より、女性は認識されている以上に副作用発現の危険性が高いこと、女性は糖尿病性血管障害の発症進展リスクが高く、喫煙や遺伝的抗酸化(抗解毒)機能低下によってその危険性が増大することを初めて明らかにした。現在は、上記の結果を心血管疾患・統合失調症患者で検証し、生活習慣病の性差に係る候補遺伝子を増やして検討する一方で、本研究成果を女性のヘルスリテラシー教育として国民に還元するためのホームページを作成中である。
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