本研究は、人間の身体の社会性、身体が社会的、間主観的に育まれることの意味を政治学的かつ社会学的に明らかにし、グローバル社会において非-暴力的で身体性に根ざした社会の構築の必要性を提言することを目的としていた。非ー暴力を特徴とするフェミニズムの社会構想については、すでに2012年度に『フェミニズムの政治学』(みすず書房)として公刊した。 本年度は、編著として、内藤正典・岡野八代(編)『グローバル・ジャスティス――新たな正義論への招待』(ミネルヴァ書房、2013年5月)総247頁 を公刊した。そのなかでは、「序章」:1-15頁、「グローバルに正義を考える――日本軍「慰安婦」問題をケースにしながら――」:203-226頁。を担当し、また、ピエール・サネ「貧困は人権侵害なのか?」(『グローバル・ジャスティス』所収、和田昌也との共訳): 105- 116頁。・ルース・リスター「シティズンシップをジェンダーの視点から考える」(同上所収):153- 167頁 を担当した。 また、本研究の最終年度として、「ケアの倫理」が合衆国フェミニズム思想のなかで生みだされてきた歴史を、さらに丹念に読み返すことを試みた。2013年度中には残念ながら公刊には間に合わなかったが、「ケアの倫理」のフェミニズムへの再定位――「ケアの倫理」か「正義の倫理」かの枠組みを疑う」を、関西倫理学会@立命館大学(2013年11月3日)にて報告し、2014年度中に関西倫理学会学会誌にて掲載されることが決定している。
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