本研究の目的は、ドゥーリア概念、すなわち、圧倒的な弱者をケアする者にもまたケアする権利があるという考え方を基本とした、新しい社会を構想することにあった。ケアする=される関係は、通常の政治学が前提とする平等で権力関係も対称的な市民の関係とは異なり、非対称的であるがゆえに、暴力の要因を内包している。そうであるがゆえに、ケア関係とは圧倒的に弱い他者に非暴力で対応するという非暴力の実践を学ぶ営みである。当研究の主な業績は『フェミニズムの政治学--ケアの倫理から、グローバルな社会へ』(みすず書房, 2012年)において公刊した。
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