イマヌエル・カントの晩年の実践哲学体系書である『人倫の形而上学』を、《定言命法の体系》として読み解いていった。《批判倫理学》における「定言命法」理解とは異なり、『人倫の形而上学』においてはそこに含まれる法義務や徳義務がいずれも定言命法と呼びうるものであり、それらが体系的全体を成していることを明らかにした。 さらにカント自身は明言しなかったものの、定言命法だけでは人間の行為・実践を導くことができず、定言命法を現実世界において実現するため技術的仮言命法が必要であることを明らかにした。哲学カフェといった思想運動を、そのような具体的な仮言命法のひとつとみなして福島の地で実践し、その有効性を検討した。
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