研究課題/領域番号 |
23520012
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桑原 直巳 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20178156)
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キーワード | キリスト教教育 / 自由学芸 / 人文主義 / イエズス会 / 哲学・倫理教育 / トマス・アクィナス / 中世倫理思想 / 修道会 |
研究概要 |
本研究は、(1)キリスト教的人文主義教育に関する思想史的研究と、(2)イエズス会を中心とする修道会によるキリスト教的人文主義教育の実際上の展開に関する研究との両面からなる。 (1)に関しては、さらにイエズス会の活動についての研究とより以前からの思想史研究とに分けられる。前者(イエズス会教育)に関しては23年度までにいくつかの論文および編著書にまとめてきている。また特に今年度は、後者について、キリスト教人文主義教育の源泉となる中世思想史全体に対する見通しを得るべく数編の論文をまとめた。 (2)に関しては、2012年8月に見学旅行に赴いたフィリピンにおけるカトリック学校(イエズス会によるアテネオ・デ・マニラ大学ハイスクール、メリノール会によるマリアム・カレッジ・ハイスクール、Augustinian Recollect Sisters の Our Lady of the Sacred Heart School)を訪問・見学した際の知見、およびインタビューの結果を論文にまとめた。また2014年8月には日本におけるイエズス会学校4校の倫理科教員団の研修会に招かれて講演し、同時にイエズス会同校の教育の現状および直面する問題などについてインタビューを行った。これらの活動の結果、キリスト教的人文主義教育の理念を現代に活かすための努力と課題とについて多くの知見を得ることができた。 (3)以上(1)(2)の成果を踏まえつつ、日本倫理学会、日本哲学会などにおいて、教育問題に関わる「ワークショップ」の企画などを押し進めている。なお、2014年9月より、カトリック教育学会会長に就任した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記(2)に記した講演は、奇しくも本研究の趣旨に即する形でイエズス会学校の側からオファーがあったものであり、格好の機会となった。本務校で管理職となるなどの負担増もあったが、(1)に記した文献研究による思想史研究も概ね予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)のキリスト教的人文主義教育に関する思想史的研究に関しては、これまでアウグスティヌスからトマス・アクィナスなど中世、そしてイエズス会教育にいたるまでの包括的なサーベイを展開してきた。最後に改めてイエズス会を中心とする近代初頭のキリスト教人文主義教育に重点を置いた研究を目指す。 (2)のイエズス会を中心とする修道会によるキリスト教的人文主義教育の実際上の展開に関する研究に関しては、初年度のヨーロッパ、2012年度のフィリピンについて知見を得た。現在、イエズス会が新たに教育制度を構築しようとしている東ティモールに視点を広げることを目指す。 (3)の「現代的意義」に関しては、各学会を通しての活動に反映させる。
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