カントの「ヴィルキューアの自由」の概念を、アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテンの"liberum arbitrium"の概念との関係において研究した。バウムガルテンは、自由というものを三つのステップで考察した(1. 自発性、2. ヴィルキューア、3. 自由なヴィルキューア)。カントはこの区別を継承し、純化した。その結果として、カントのヴィルキューアの自由は、彼の後期著作『単なる理性の限界内における宗教』においても、「選択の自由」を含意するはずはない。なぜなら、自由なヴィルキューアの規定根拠は純粋理性以外の何ものでもないからである。
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