『純粋理性批判』の摘要の作成、『道徳形而上学の基礎づけ』『天界の一般自然史と理論』「嘘論文」などカントの主要著作の精読を通して、自分のこれまでのカント研究の成果を「カントの人間思想に関する十の仮説」としてまとめた。これをこの三年間に研究会、学会、大学の講義、講演等で口頭発表したが、今後数年間のうちに上梓したい。 本仮説の主軸は、「人間の自己対象化的性格の剔抉」がカントの全哲学的営為を貫いていたと把握することができる、というものである。これがカントの認識論、実践論、目的論、宗教論、政治論、大学論などを串刺しにしている、という視点を今後国際カント研究の世界にも発信していく。
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