デカルトが意識概念の形成に果たした役割は、conscientiaというラテン語を倫理的な意味から心理的な意味へと変更したことではなく、外的世界との関係を欠いても真である領域を発見し、それにこのラテン語を結びつけたことにある。デカルトがこの概念を適用した「見ることを知覚する」という高階の知覚について、アリストテレス、ストア派や新プラトン主義者の分析はそれぞれ異なり、とりわけアリストテレスはこの高階の知覚が外的世界の知覚に内含されると考えたが、デカルトの意識概念はこの関係の切断による歴史的産物である。なおカドワースのconsciousness概念には、デカルトより新プラトン主義の影響が大きい。
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