研究課題/領域番号 |
23520021
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
檜垣 立哉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70242071)
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研究分担者 |
山崎 吾郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招聘研究員 (20583991)
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キーワード | 国際情報交換 フランス |
研究概要 |
本年度も昨年度にひきつづき、檜垣の学内研究グループである「最先端ときめき」の活動と連携をとりながら、フランス哲学ドイツのや生命科学と思考に関して、数多くの国内セミナーをひらくとともに、とりわけこの科研によって、ドイツベルリン大学訪問などをおこなった。 檜垣の発表としては、ドゥルーズ国際学会(アメリカ・ルイジアナ)や日本哲学会(大阪大学)での発表をおこなった山崎の発表としては南京での国際記号学会での発表や生命倫理学会での発表などがある。それぞれの業績に関しては、檜垣が単著一冊と編著一冊を刊行するとともに、数多くの雑誌論文などを投稿した。山崎は博士論文の刊行がきまっておりそれにむけて作業をすすめている。 とりわけ『思想』岩波書店2013年2月号では「生権力論」が特集され、檜垣が巻頭言、鼎談、論文、翻訳、解説などを執筆し、また山崎も数多くの翻訳、解説をおこなっている。この特集そのものが、本科研が関連するさまざまな活動のなかでうみだされてきたおおきな成果であり、一般雑誌というかたちで世間に対して成果を公開下という意味で大きな成果であると考える。 三年間の計画のなかでは現代フランス哲学に依拠しながらも生命科学とテクノロジーのなかでみいだされるあらたな人間の生のかたちをどのようにつくりあげていくかという論点を、総体的にまとめるべく、この論題に相当程度に連関するニコラスローズ氏(ロンドン大学キングスカレッジ)の主著の翻訳刊行や、ロンドン大学に赴いての共同シンポジウム開催などを企画している。内外にむけた、とりわけ英語圏でも研究成果発信は重点を置いてつとめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
檜垣と山崎での共同研究はこれ以前から継続しているものであり、その流れのなかで考えれば、おおむね順調に達成できていると考える。本企画が共催および部分的居室などで側面的に支援している国際シンポジウムを、ドイツのビールフェルトで開催し、それにともなうベルリン大学訪問などを達成し、また国内シンポジウムなどについても数多くのものに貢献している。 研究成果として、檜垣は『子供の哲学』講談社メチエを刊行したが、これは生命論的な技術の進展とそれにともなうん人間観野変容という事態をうけながら、人間やその生に対する視線がどのように変容すべきであるかと論じたものであり、生命論的な哲学、あるいはそれに基づいた技術と社会との関係(これは檜垣は前著『ヴィータ・テクニカ』青土社でおこなった)をひきつぎつつ、次の段階の生命と技術の哲学を思考する足がかりとなるものである。総じて檜垣は思想や哲学の原理的な側面で、山崎は医療人類学や医療現場を含めた参与観察を行いながら研究を進めているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては檜垣と山崎ほかですすめている、本科研にかかわる翻訳の作業(ニコラス・ローズ『生そのものの政治学』、ヴィヴェイロスデカストロ『メタフィジーク・カニバル』)が進行中であり、また檜垣の学内研究組織でとの共催による、内外の研究者の招聘や講演の活動があり、それに力をそそぎながら、本科研の最終年度としての成果を果たしていくことにしたい。今年度は本科研によって檜垣は5月末の台湾でのドゥルーズ国際学会および7月のフランス・トゥルーズでのドゥルーズ=リオタール学会、さらにポルトガルリスボンでのドゥルーズ国際学会での発表が予定されているほか、秋にもフランスのエコールノルマルにおいてフランスの研究者とのシンポジウムを、そして冬にはロンドン大学でのシンポジウムを企画している、そうした発表を見据えながら、それに資するような成果の提示につとめたい。 内容的には最終年度ということもあり、前年度の『思想』のようなかたちでは難しかもしれないが、生命と科学のテクノロジーを巡り、共同研究としてのひとつのまとまった成果を提示することを目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度については、昨年度に引き続き、関連書籍の購入が全体の半分を占めるとおもわれるが、人文科学で、英仏系の書籍あるいは、きわめて先端的なかたちで進行している日本での同種の研究の動向を収拾するために、こうした書籍の購入は不可欠であるとおもわれる。 その他に今年は数多くの海外発表による研究成果の提示が計画されている。5月末の台湾でのドゥルーズ国際学会。7月のフランスでのドゥルーズ=リオタール学会、ポルトガルでのドゥルーズ国際学会での発表、およびその途中でのスペインバルセロナでの資料収集はこの科研で行うことを考えている、またロンドンでのシンポジウムは基本的には最先端ときめきの主催でおこなうものであるが檜垣の交通費そのほかについて、この科研を共催にしてこちらから支出することを考えている。 あわせてこれたフランス語英語の発表やパワーポイントについては最低限ネィティヴチェックあるいは場合によっては部分的な翻訳の依頼は不可欠であるのでその部分にも相応の支出を盛んがえいる。
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