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2012 年度 実施状況報告書

スピノザの自然哲学の形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520026
研究機関大分大学

研究代表者

黒川 勲  大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (20264319)

キーワードスピノザ / 自然観 / 属性 / 延長
研究概要

交付申請書の「研究の目的・研究計画」に照らした研究実績の概要は以下の通りである。
1 スピノザの『往復書簡集』,未邦訳科学的著作『虹に関する代数的論断』及び『確率に関する論断』の試訳を進め, スピノザの自然哲学の全体像を昨年度に続き一層明らかにした。また,『往復書簡集』の内容を吟味し,内容・事項を形而上学類と科学類に大別し整理するとともに,『虹に関する代数的論断』及び『確率に関する論断』の書誌学的確認をおこなった。
2 スピノザの物体的世界の枠組みの前提となる,『エチカ』第2部における思惟の及び延長の属性,対応する観念と対象(物体)の関係を厳密に解読した。その結果,それらは厳格な一体的関係にあり,またその決定論的性格が明らかになった。また,『エチカ』第2部に見られるスピノザの物体的世界の枠組を,スピノザの形而上学から再点検するとともに,スピノザ特有の個体・個物観についての明確化を行った。さらに,『エチカ』の主題・体系的構成を整理確認するために,ウォルフソン,カーリー等の研究書の解読及び比較検討を行った。
3 ボイルに関して,「懐疑の化学者」,「形相と質の起源」,「原子論哲学について」等の科学論・自然哲学的著作を中心に「原子論」,「粒子論」の観点から精査した。
4 ホッブスに関しては研究の進展が著しいため,特に国内の研究成果である『De Corpore』をはじめとした邦訳,関連する研究書・研究論文等の資料収集に努め,先行研究の把握を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的に到達するための課題として,1 スピノザとホッブス及びデカルトの自然観・物体観との比較研究、2 西洋中世科学論との関係の解明,3 17世紀科学革命との関係の解明の3点が挙げられるが、そのすべてに着手している。
また,それらの課題1・2・3について,特に自然観・物体観における西洋哲学史における文化的関係・思想内容の異同については具体的な知見・成果を得ている。

今後の研究の推進方策

23・24年度の成果に基づき,今後は特に西洋中世科学論を踏まえた近世哲学における科学論との関係の解明に研究の力点を移し,ホッブス,デカルトの自然哲学とスピノザの自然哲学の関係について研修成果のまとめを行う。
同時に,スピノザ哲学全体の中での自然哲学の位置づけをコナトゥス概念を中心におき,スピノザの方法論・倫理学・神学・政治論との関連を明確するよう研究を進める。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] スピノザ『知性改善論』における「真の観念」の分析2012

    • 著者名/発表者名
      黒川 勲・阿 娜
    • 雑誌名

      大分大学教育福祉科学部研究紀要

      巻: 第34巻-第2号 ページ: 115-125

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公開日: 2014-07-24  

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