研究課題/領域番号 |
23520028
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
別所 良美 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (10219149)
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キーワード | ベーシック・インカム / ドイツ / スイス / 民主主義 |
研究概要 |
平成25年度は、日本国内に於いてBI研究会を3回開催し、その成果を平成26年1月22日と25日のドイツおよびスイスで行ったベーシック・インカムに関する日独シンポジウムに参加・報告し、ドイツおよびスイスの関係者との交流・協働関係を深めた。 平成25年7月6日に同志社大学において山森亮および村上慎司と別所良美(研究代表者)が日独シンポジウムのための打ち合わせを行い、またBI市民団体が行っている「ベーシックインカムゲームをしよう!」企画に参加し、ベーシック・インカムを一般市民に伝える方法について知見を得た。7月11日には、名古屋哲学研究会の第3回ベーシックインカム研究会を開催し、村上慎司がBIと消費税に関する報告をおこなった。10月5日には、名古屋哲学研究会の第4回ベーシックインカム研究会において、別所良美、村上慎司、岩佐宣明、斉藤拓、須川咲子が報告を行ない、日独シンポジウムに向けた報告準備を行った。 平成26年1月22日にはドイツ・アルフターのアラナス大学において、別所良美、山森亮、村上慎司、岩佐宣明、須川咲子がベーシック・インカム日独シンポジウムに参加し、また1月24日25日にはスイス・ベルンの市民公会堂フーバーホールにおいて市民参加の公開シンポジウム「ベーシック・インカムと民主主義」においても日本側参加者が報告した。この公開シンポジウムは、スイス憲法へのベーシック・インカム条項の明記を要求する憲法改正の国民投票要求運動が12万6千の有効署名をもって国会に平成25年10月4日に受理され、数年後にこれに関する国民投票が行われることになったことを契機として行われたものであり、ベーシック・インカムがドイツ、スイス、日本の民主主義の発展にどのような意義を持つかについての議論を深めるものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年1月にドイツとスイスで開催された日独およびスイスのベーシック・インカム研究者・推進者との国際シンポジウムへの参加によって、ベーシック・インカムの哲学的意義についての比較研究は「ベーシック・インカムと民主主義」という中心テーマに収れんしてゆき、また学術的および市民運動的な交流も深めることができ、本研究の目的をほぼ達成することができた。 研究期間を当初計画より一年延長したのは、研究遂行における成果として作成した、一般市民にベーシック・インカムを理解してもらうための「BIボードゲーム」を、日独スイスの交流経験を踏まえてより完成度の高いものにすること、および日独シンポジウムの成果を更に発展させるための準備作業をおこなうためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、「BIボードゲーム」の改良についての研究会を行い、新しいバージョンを作成すること、および平成25年度に行った日独スイス・シンポジウムの成果をさらに発展させ、ベーシック・インカムが民主主義の発展のみならず、持続可能な社会を形成するためにも重要な意味を持つという観点を、ドイツの研究者との議論を通じて明確化することである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の当初研究計画では、日本で日独シンポジウムを9月に開催する予定であったが、スイスでのベーシック・インカムを憲法に記載する国民要求運動の進展に対応して、ドイツとスイスで平成26年1月に行うことになり、開催会場費用がドイツとスイスの関係者から支出されたため、当初の予算金額が余った。 「BIボードゲーム」の改良についての研究会を行い、新しいバージョンを作成するための費用として支出する。また予算上の余裕があれば、研究代表者がドイツに出張し、ベーシック・インカムが民主主義の発展のみならず、持続可能な社会を形成するためにも重要な意味を持つという観点を明確化するためにドイツの研究者との研究会を開く。
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