平成26年度は、当初3か年計画であった本研究に関してやり残した諸点を完了し、研究の更なる発展のための準備も行った。すなわち(1)「BIボードゲーム」の改良についての研究会(25年度、2014年3月28日実施)の成果をもとに、ゲーム実施の際のより良い方法について検討し、ゲームの中でベーシック・インカムの本質を体験的に理解でき、また批判的思考を深めるかについて考察した。このさらに「BIボードゲーム」を広めるためにボードゲームセットを増刷した。これを今後、国内のみならずドイツやスイスの関係者に送り、ベーシック・インカムの普及に努めたい。(2)日独の比較研究の成果として明らかになったベーシック・インカムの民主的社会形成への意義を社会に広めるために、ドイツ・アラナス大学のリーバーマン教授を訪れ、彼の近刊の著作の翻訳あるいは抜粋翻訳を行い日本に紹介する計画について話し合った。このドイツ訪問においてデュッセルドルフ大学の島田信吾教授の主催する研究会において、カント哲学の「限界」概念が「持続可能な開発=SD」につながる可能性を報告し、ベーシック・インカムをSDおよびESD(持続可能な開発のための教育)に接続させる試みを行った。なお、研究代表者は平成26年度から新たな科研費「ベーシック・インカムとESDとの哲学的連関についての日独共同研究」を始めている。
|