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2013 年度 実績報告書

「生命の哲学」における生存肯定の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520029
研究機関大阪府立大学

研究代表者

森岡 正博  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80192780)

キーワード生命倫理 / 生命の哲学
研究概要

「生命の哲学」を「生存肯定」の視点から総合的に考察する本研究の最終年度であったが、「生存肯定」を「誕生肯定」としてさらに概念的に深化させる研究と、そのプロセスで浮上した「ペルソナ」の概念の再定義の研究を進めることができた。まず「誕生肯定」については、その反対命題である「生まれてこなければよかった」について分析哲学の手法によって考察し、応用哲学会第5回大会にて「〈生まれてこなければよかった〉とはどういう意味か」として発表を行なった。そこでは本研究の暫定的な結論が示され、誕生肯定を「「私が生まれてくるという出来事が過去において起きた」という歴史を持つ世界が、いまここでありありと実現していることを私が肯定し、受容し、そのことに感謝し、そのことに対して自己充足することである」と規定した。
また、ペルソナの概念については、ヨーロッパにおけるペルソナ概念の成立についての思想史的な検討を行ない、プロソーポンおよびヒュポスタシスとしてのペルソナ概念がむしろ関係性や流動性といった意味内容をはらんでいたことに着目して、現代の生命倫理的状況における関係性に基づいたペルソナ概念こそがそもそも正統的なものであった可能性を示唆することができた。これについての論文は学会誌に採用され、掲載される予定である。さらに、研究の過程で派生的に生じた「人間のいのちの尊厳」についての問題と、それを地球社会で実現する「サステイナビリティ」の問題についてそれぞれ考察を行ない、論文を発表した。これらの研究を行なうにあたって、東西の美術史・芸術史における生命観・自然観の調査研究を実施し、大きな示唆を得ることができた。本年度の研究成果の国際学会における発表は次年度に行なう予定となった。
以上、全体として当初の研究目標をおおむね達成することができたと考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 「産み」の概念についての哲学的考察2014

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 雑誌名

      現代生命哲学研究

      巻: 3 ページ: 109-130

  • [雑誌論文] サステイナビリティ学において何がサステイナブルであるべきなのか2014

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 雑誌名

      人間科学

      巻: 9 ページ: 35-61

  • [雑誌論文] How a Japanese Philosopher Encountered Bioethics2013

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Morioka
    • 雑誌名

      Ethics in Science and Society: German and Japanese Views

      ページ: 27-41

  • [雑誌論文] Why is It Hard for Us to Accept Moral Bioenhancement?2013

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Morioka
    • 雑誌名

      Ethics for the Future of Life: Proceedings of the 2012 Uehiro-Carnegie-Oxford Ethics Conference

      巻: - ページ: 97-108

  • [学会発表] 〈生まれてこなければよかった〉とはどういう意味か

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 学会等名
      応用哲学会第5回年次大会
    • 発表場所
      南山大学
  • [学会発表] ペルソナ論の現代的意義

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 学会等名
      比較思想学会40周年記念大会
    • 発表場所
      大正大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 人間のいのちの尊厳について

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 学会等名
      ハイデガーフォーラム第8回大会
    • 発表場所
      関西大学
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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