本研究では、近代日本において日本の伝統的思想から近代までを統一的に捉える哲学的立場に立つ思想史研究を対象に、そのいくつかの流れを方法論の違いから、概観し分類することを先ずはこころみた。その流れを六つに分類整理したが、そのながれの多くに見られるドイツ文献学およびディルタイ解釈学の方法の受け止め方を、単に方法論的考察のみではなく、それらの方法が描き出す思想史像に内在的に踏み込むことで、その方法論の意味を考察した。それによって哲学分野の学として始まった日本思想史研究の方法論の知見が、近代日本哲学倫理学史において、どのような位置をしめるかを明らかにした。
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