研究課題/領域番号 |
23520038
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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研究分担者 |
早川 正祐 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (60587765)
佐良土 茂樹 上智大学, 哲学研究科, 特別研究員 (40711586)
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キーワード | アリストテレス / 倫理学 / 徳論 / ヘレニズム / 幸福 / メガロプシュキア |
研究概要 |
研究の3年目としては当初の予定通り、ほぼ順調に推移している。 (1)大学院哲学研究科PDの早川正祐氏の退任・交代に伴い、平成25年度より新たに佐良土茂樹を研究分担者に迎えた。同氏は大学院在学中からアリストテレス倫理学の研究を専攻しているため、テクストの読み合わせや研究文献の情報交換など連携はスムースに行っている点で、強力な分担者である。 (2)同氏の協力により『エウデモス倫理学』本文のテキストに関する逐語的な検討はほぼ完了した。 (3)同氏はダグラス・ケアンズ氏の業績をもとに徳倫理学の個別研究を発展させ「羞恥心」や「名誉心」が道徳的行為の動因として作用する機序を明らかにした研究を、インドでのグローバル倫理学をめぐる国際学会で発表し好評を博した。この学会には上智大学から田中裕教授、寺田俊郎教授らも参加した。 (4)代表者・荻野は昨年度の「賢慮」に引続き、平成25年度は「幸福」の概念を「人生の意味」との関係で多角的に掘り下げることに努めた。これは近年経営学や経済学、心理学などの分野から幸福に関する実証的関心が深まっていることに対応している、これらの動向を踏まえて哲学・倫理学における幸福概念の有効性と射程とを検討した。人事院研修所での幹部研修における講演、日本生産性本部での招待講演、一橋大学経営学大学院、同国際企業戦略研究科などの研究会で、他の分野の研究者とも意見を交換する機会があった。これは成果として論文公表するには至らなかったが、平成26年度中には改めて公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会の実施とその記録、文献の蒐集と資料調査など、予定していた活動はほぼ順調に推移している。平成25年度は海外の研究者との交流は特になかった。2013年から14年にかけて、相変わらず英語圏を中心に『エウデモス倫理学』の研究書、徳倫理学に関する高度な研究文献、そして日本でも幸福をめぐる倫理学書が多数刊行されるなど、本研究の目指すところが内外の研究動向と密接に連携していることが明らかになってきた。ただしこれらの研究成果をまとめて形にするためには、なお時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)佐良土氏を分担者に加えることによって、研究が加速されていることは喜ばしい。日本での徳倫理学への関心の高まりを背景に、今年度は国内の関連分野の研究者との連携を強化したい。 (2)またこれまでの研究成果をまとめる必要があり、集中的な作業を進めることにしたい。 (3)ロンドン大学のラファエル・ウルフ教授、トロント大学のインウッド教授など、この分野での国際的な協力関係を保ち、国際的な研究集会の企画なども視野において研究を推進したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は当初予定していた海外出張分がとりやめになった。 平成25年度にとりやめた海外出張を実施する。
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