研究課題/領域番号 |
23520040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上原 麻有子 京都大学, 文学研究科, 教授 (40465373)
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キーワード | 翻訳哲学 / 日本哲学 / 比較思想 / 言語哲学 / 京都学派 / 西周 |
研究概要 |
今年度は、以下の四つの活動を中心に研究成果を出すことができた。 ① 23d. World Congress of Philosophy (アテネ大学、8月)における二つの発表―日本哲学関係のラウンドテーブル:a.“Different Aspects of Translation : In the Case of Nishida Kitaro and Miki Kiyoshi” ; b. “Language, Ways of Thinking, and Logic in Japanese Philosophy” 海外の日本哲学者と議論し、哲学の翻訳に関する考察を深め、具体的な検討問題を掘り起こすことができた。 ②「近代日本哲学を西洋の言語と思考でとらえる」というテーマで、7月、12月に京都大学で研究会を開催した。国内の日本哲学・西洋哲学の研究者による発表、またそれに基づく議論を通じて、日本的論理と日本語による哲学の言語表現の問題を精査し、西洋に向けてそれを紹介する際の課題を検討した。 ③国際シンポジウム開催:オギュスタン・ベルク氏(元フランス国立社会科学高等研究院 教授)を12月、京都大学に招へいした。講演のテーマは「通態とは科学の対象になりうるか?今西自然学の問題に関連づけて」。 ④国際学会(ロンドン、3月): ロンドン大学・教育研究所では、京都大学-ロンドン大学間の国際会議に出席し、「翻訳哲学」について発表した(英語)。参加者らとともに、西田幾多郎の哲学概念「純粋経験」をめぐり、言語と翻訳の問題について考察した。さらに、社会科学高等研究院(パリ)も訪問、フランス人の日本思想研究者らと面談し(フランス語)、京都学派の哲学、哲学の翻訳、広義の翻訳や環境と表現の問題に等ついて、意見交換した。今後の共同研究の可能性を探ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の期間は3年であるが、国際ワーックショップやその他の会議は、順調に実施することができた。従って、フランスを中心とする西洋に向けた日本哲学の紹介は進んだ。ワークショップや会議を通して、翻訳と日本哲学の問題を掘り下げる研究は十分進み、研究の幅も広がった。しかし、その成果を公表するための出版準備は、フランス語の原稿校閲が難航したため、遅れている。当初、編集作業に参加する同意を得た海外の研究者数名の予定が変わり、協力を得られなくなった。また、その後フランス語による哲学論文の校閲を依頼できる適任者が見つからなかったことが、遅れの理由である。 、
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、成果を発表する出版準備が遅れたため、研究期間の1年延長を申請し、承認された。最近、フランス語論文の校閲者も見つかった。延長期間内に哲学と翻訳をテーマとするフランス語の論文集の校閲・編集は終了し、本書は出版される見込みである。 本研究課題は、より内容を厳密に精査し、多くの研究者と国際的に共同研究を推進する必要がある。そのような計画のもと、基盤Bの研究へと進む予定である(平成26年度採択済)。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度である平成25年度の研究計画が、予定通りに進まなかった。そのため、すでに「補助金事業期間延長」を申請し、承認を得ている。 研究の成果としての出版を準備中で、主にその校閲、印刷にしようする。
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