研究課題/領域番号 |
23520047
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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キーワード | プラトン / 『ポリティコス』 / 政治的知 / 倫理的知 |
研究概要 |
プラトンの後期対話篇である『ポリティコス』を、中期の対話篇とりわけ『国家』との関連で検討し、その上で『ポリティコス』の総合的検討を目指す本研究では、初年度に引き続き、第2年度においても、テキストの詳細な読解と参考文献の検討とを重ねた。また、2012年8月には、イギリスのケンブリッジ、およびオックスフォードを訪れた。 そのうちケンブリッジでは、とりわけ『ポリティコス』における「神話」の役割について、及び、『国家』と『ポリティコス』との連関について現地の研究者と討議した。その結果、「神話」に描かれている時期区分を三期とする解釈は妥当性を欠くこと、および『ポリティコス』を『国家』と統一的にとらえる視点がありうること、に意見の一致を見た。また、資料の収集に努め、こちらに関しても貴重な資料を集めることができた。 オックスフォードでは、Freedom and the State: Plato and the Classical Traditionと題する学会に参加し、プラトンの『国家』について発表をし、現地の研究者や国内から参加した研究者らと討議を重ね、大きな成果を得た。この発表は、民主制にみられる自己欺瞞のありようをプラトンが批判しているとの観点から、『国家』における自由の概念を知と結びつけて解釈する試みであった。これにより『国家』と『ポリティコス』との連関、さらには『ポリティコス』独自の展開の重要な足がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラトン『ポリティコス』の読解、および二次文献の調査が順調に進み、テキストそのものの理解が深まっている。それには内外の研究者との討議も有益であった。また、プラトン『国家』における自由と知との連関を解明しえたので、それをもとに中期対話篇である『国家』と後期対話篇である『ポリティコス』の関係について考察する基盤を得ている。以上の理由により、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
プラトン『ポリティコス』の読解、および二次文献の調査を引き続き進めていく。それに基づいて、研究成果を発表していく所存であるが、とりわけ『国家』と『ポリティコス』の関係について、その神話の扱い方、また問答法のあり方、の2つの視点から検討した研究成果を発表していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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