研究課題/領域番号 |
23520051
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 浩之 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60322773)
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研究分担者 |
水上 雅晴 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60261260)
石井 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60241402)
松本 武晃 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30528229)
加藤 眞司 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (60553047)
西 信康 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30571062)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 易学 / 日本中世 / 経学 / 朱子学 / 桃源瑞仙 / 抄物 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
1、中世易学関連資料の入手:可能な限り優先的に桃源の『百衲襖』の現存本の閲覧と複写を行い、情報と資料の収集を進めている。大塚光信「史記抄について」(『抄物資料集成』第七卷所收、清文堂出版、1976年)によれば、『百衲襖』の現存本は次の6種である。i建仁寺両足院蔵本(現存23冊)、ii慶応大学附属図書館蔵本(現存19冊、両足院本の写し)、iii京都大学附属図書館蔵本(現存23冊、外題「易抄」)、iv京都大学附属図書館蔵本(現存17冊、外題「百衲襖」)、v京都大学附属図書館蔵本(現存2冊、外題「百衲襖」)、vi蓬左文庫本(現存19冊)。本年度はviの複写を入手し、簡単な比較を行った所、iii(複写入手済み)と同系統のものであることが判明した。2、研究題目に関わる考察:研究代表者(近藤浩之)は「桃源瑞仙の易學について」を学会で発表し、桃源『百衲襖』と柏舟『周易抄』の易学に関わる初歩的な調査・考察を行った。研究分担者の石井行雄は「『古今和歌集』語彙から見た『源氏物語』の「あさまし」」を雑誌論文として掲載し、古典の語彙による類想と含意について考察した。水上雅晴は「日本易学中的禁忌」を学会で発表し、日本の易学の一側面を明らかにした。次年度は『四河入海』における経説に関する発表を行う予定である。加藤眞司は「『朱子語類』譯注(顏淵篇下「仲弓門仁」章)」、「近一百年日本研究《周易》概況─1900-2010年之回顧與展望」を雑誌論文として掲載し、「三蘇の義利観」を学会で発表し、主に朱子学・日本の易学・蘇軾の易学に関する考察を行った。西信康は「試論上海簡《民之父母》中的"物之所至者,志亦至焉"」を学会で発表し、五経に関する考察を行った。現在、各自各様に研究を進めているが、今後は互いに有機的に結びつくことで、全体として朱子学輸入後の日本中世の学術界の実態を明らかにすることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、当該年度に京都方面に資料の調査・収集に行く予定であったが、実行できなかったため。次年度に京都方面、特に『百衲襖』の現存本i・iv・vの調査と複写の入手を行う予定である。また、これら基本資料を電子データに加工する作業があまり進んでいないので、今後はさらに積極的に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
日本易学研究を専門とし、『易学対徳川日本的影響』(中文大学出版社、2009年)の著者である、香港中文大学日本研究学系の呉偉明教授を招聘し、共同研究または共同調査を行う。また、京都方面に豊富に所蔵されている抄物、特に桃源瑞仙と易学に関わる資料の調査と入手を進め、抄物の一部または全文を、研究の必要に応じて翻刻し、利用し易い形にして公開する。各分担者が各研究において抄物を翻刻した入力データをもとに、それを集めて編輯し、本研究計画に関連する抄物の資料集を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)平成23年度未使用額(21,775円)は、3月に納品された消耗品の精算が3月中(平成23年度内)に行なわれなかったものである。(2)この次年度使用額(21,775円)は、3月に納品された(データの入力・整理作業に必要な)消耗品の費用として使用している(平成24年4月に精算完了)。(3)平成24年度の研究費(120万円)は、関連分野の図書・研究書を入手するための設備備品費(50万円)、データの入力・整理作業に必要な消耗品費(5万円)、京都方面へ出張し関連する資料を調査するための国内旅費(30万円)、海外の研究者を招聘するための外国旅費(20万円)、データの入力・整理作業を補助する要員のための謝金(10万円)、通信費・印刷費・製本代などのその他(5万円)の使用を計画している。
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