研究課題/領域番号 |
23520051
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 浩之 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60322773)
|
研究分担者 |
水上 雅晴 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60261260)
石井 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60241402)
松本 武晃 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30528229)
加藤 眞司 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (60553047)
西 信康 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30571062)
|
キーワード | 国際研究交流 / 国際情報交換 / 香港 / 呉偉明 / 易 / 桃源瑞仙 / 日本中世 / 抄物 |
研究概要 |
慶応大学附属図書館と京都大学附属図書館で『百衲襖』に関する資料を閲覧し調査した。特に慶応大学附属図書館蔵本『百衲襖』(現存19冊、両足院本の写し)の複写を依頼し入手した。 香港中文大学日本研究学系の呉偉明教授を招へいし、日本の易学に関する情報交換を行うとともに、「高島呑象の易占と明治期の政治、軍事」(於京都大学人文科学研究所)、「徳川時代における国学者の『易経』研究:平田篤胤を中心として」(於北海道大学文学研究科)という二つの講演を行ってもらった。 研究代表者(近藤浩之)と研究分担者(水上雅晴、石井行雄)が国際シンポジウムや国内シンポジウムに出席して研究発表を行なった。 本研究によりわかったこととして、桃源の易學は、尊敬する胡一桂の易學の繼承が中心である。『百衲襖』では、朱子『易學啓蒙』の學を極めるため、胡方平『易學啓蒙通釋』・胡一桂『易學啓蒙翼傳』を講義し、特に胡一桂の易學を懇切丁寧に解説する。また桃源は、胡一桂『翼傳』によって易傳(易學啓蒙)を、胡一桂『纂疏』によって易經(六十四卦)を講義したかったようだが、『纂疏』の方は入手できなかったため、やむを得ず董楷『周易傳義附録』によって講義したようである。また、胡一桂が引用した「以三錢擲之」について、桃源は、『大易斷例卜筮元龜』の「以錢代蓍法」「擲錢爻式」「擲錢卦爻式」などを引用・抄寫し、さらにその擲錢法による占いの實踐例と問題點を、具體的に講義する。そこにも桃源の『易學啓蒙』研究の成果が十分に盛り込まれており、禪林・足利學校・博士家の易學を總合した『百衲襖』は、日本中世期における『易學啓蒙』の受容と展開の様相や特色を如実に示す重要で貴重な資料である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、『百衲襖』の現存本6種のうち、主要な3種、慶応大学附属図書館蔵本(現存19冊、両足院本の写し)と京都大学附属図書館蔵本(現存23冊、外題「易抄」)と蓬左文庫本(現存19冊、外題「周易抄」)の複写を入手して、基礎的研究の条件がほぼ備わった。 本研究において、最も重要な国外研究者である香港中文大学日本研究学系の呉偉明教授を招へいして、講演実施と情報交換を実現できた。また、今後の共同研究の打合せを行ない、平成25年度も同じシンポジウムに参加し研究発表・情報交換を行うことを確認した。 研究代表者(近藤浩之)と研究分担者(水上雅晴、石井行雄)が国際シンポジウムや国内シンポジウムに出席して研究発表を行い、研究を進展させた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、『百衲襖』の現存本6種のうち、まだ複写を入手していない建仁寺両足院蔵本(現存23冊、「百衲襖」の題簽を持つ)と京都大学附属図書館蔵本(現存17冊、外題「百衲襖」)と京都大学附属図書館蔵本(現存2冊、外題「百衲襖」)の3種の複写を入手に努め、基礎的研究条件の充実を図る。 再度、香港中文大学日本研究学系の呉偉明教授を招へいし、講演実施と情報交換を行うとともに、共同開催する国際シンポジウムに参加して研究発表を行い、本研究の総括を行うことを目指す。 最終年度(25年度)に、国際シンポジウムの会議論文集と、桃源『百衲襖』を中心とする「日本中世易抄資料集」(稿本、研究成果公開促進費(学術図書)申請のための見本)を完成させる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」56000円(当該研究費)は、会計上、前年度(平成25年度3月31日)までに使用しなかったが、実質的には前年度内に使用された物品(資料整理のための文房具)及び謝金(呉偉明教授の講演に係るもの)が、会計決算の手続き上、次年度(平成25年度4月1日以降)のものとして処理されざるを得なかったものである。よって、当該研究費は次年度の研究費と合わせて、実質的に(研究計画の変更は無く)従来の計画通りに使用することとなる。
|