研究課題/領域番号 |
23520055
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 篤 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00117128)
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キーワード | 天主教 / 畸人十篇 / マテオ・リッチ / 朝鮮 / 日本 |
研究概要 |
『畸人十篇』とその朝鮮・日本における思想的影響に関して、本年度は以下のような研究を行い、成果を得た。。 ①前年度に引き続き、韓国、台湾及び国内に所蔵されている『畸人十篇』の版本や写本の調査を行い、諸本に収載されている序文の相違点や刊行時期、文字の異同などに関する書誌学的な研究を行い、従来不明であった点を明らかにした。また、『畸人十篇』を収載する『天学初函』の国内における現存写本を検討することによって、江戸期における明末天主教書籍受容の実態について解明することができた。 ②『畸人十篇』の内容分析を行うことによって、主要課題である死生観をめぐってどのような中西対話がなされているかということを明らかにした。また、死生観の問題が『天主実義』の内容とどのように関係するかについても解明した。さらに、『畸人十篇』の第五篇・第六篇の訳注の準備を行い、全文訳注への準備ができた。 ③本研究の成果を基にして、平成24年11月20日に台湾師範大学東亜学系において、「101学年度第一学期専題演講」として、「明末天主教與生死観」という講演を行い、研究成果の一部を公表することができた。 ④本研究の成果発表の一貫として、平成25年5月24日に東京で開催される「第58回国際東方学者会議」のシンポジウム「17-18世紀:西学東漸と東アジア」において、「明末天主教と死生観―中西対話の底に流るるもの―」と言う標題で発表を行うことが決まり、その準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『畸人十篇』の版本・写本の調査も順調に行うことができている。 『畸人十篇』の内容分析に関しても、主題が明確になってきており順調に進展している。 『畸人十篇』の訳注に関しては、第5篇・第6篇の訳注の準備ができており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
『畸人十篇』とその朝鮮・日本における思想的影響に関して、最終年度である本年度は以下のような研究を行う。 ①前年度までに調査を行うことができなかった『畸人十篇』の版本・写本の調査を行う。 ②『畸人十篇』の明版と清版との文字の異同に関する校勘表を完成させる。 ③『畸人十篇』の内容分析と訳注を完成させる。 ④以上を踏まえて、本研究の報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
『畸人十篇』の版本・写本の調査の一部が、所蔵機関の都合等で実施できなかったので残額が生じた。研究費の残額は調査旅費として使用する。
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