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2011 年度 実施状況報告書

近世中国におけるムスリムの「釈疑」言説の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520058
研究機関大妻女子大学

研究代表者

佐藤 実  大妻女子大学, 比較文化学部, 准教授 (70447671)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード『清真釈疑』 / 釈疑 / 中国イスラーム / 儒教 / 金天柱
研究概要

本研究では18世紀頃から中国で著された、漢語を母語とするムスリムたちによる、非ムスリムとくに漢族からかけられた嫌疑にたいする異議申し立て「釈疑」の言説に注目し、その内容を検討・分析することで、マイノリティであるムスリムがどのようにして漢族に認められようとしたのかについて考察することを主たる研究目的としている。またこの事例研究を通じて、中国ムスリムが宣教を行わず、「釈疑」という形式をとったことの意味もあわせて考える。 具体的には金天柱『清真釈疑』、唐晋徽『清真釈疑輔輯』の言説を中心に検討し、両書の関係についても、先行するイスラーム思想漢籍や、両書を生みだした時代背景とあわせて考察する予定である。 当該年度においては、金天柱『清真釈疑』の書誌学的情報の調査をおこなったうえで、同書の序文を中心に分析・検討し、以下のことを明らかにした。まず『清真釈疑』が非ムスリムにむけてイスラームの情報を発信しようとした最初期の書であるのみならず、不敬虔なムスリムにたいしても信仰を矯正することを企図したことが判明した。また非ムスリムが同書にむけた序文からは、ムスリムたちが仏教や道教などの異教(あるいは邪教)に流されない強い心をもつことに賛辞を述べる一方で、イスラームが儒教と相違ない教えとして認識されたことが明らかになった。いったい、このイスラームが儒教と相違ない教えであるという認識はどのような点においてであるのか、その内実の究明が今後の課題となる。 また、中国イスラーム漢籍を集大成した『回族典蔵全書』を購入し、収められている上記の書籍以外のイスラーム漢籍をふくめた、ひろい視野に立っての中国イスラーム思想研究の基盤づくりの整備にとりかかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

『清真釈疑』の訳注作業は当初の予定どおり進めている。だが、『清真釈疑』『清真釈疑輔輯』の校訂作業が当初の予定からやや遅れている。また文献収集のための海外調査が今年度は実施できなかった。

今後の研究の推進方策

『清真釈疑』の訳注作業を継続して行うとともに、テキストの校定、海外調査の実施による関連文献の収集を行う。

次年度の研究費の使用計画

資料収集のための海外調査費、関連文献の収集に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] イスラームにむけられた疑いを解くことー金天柱『清真釈疑』初探ー2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤実
    • 雑誌名

      知のユーラシア

      巻: なし ページ: 176-194

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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