鄒守益著作の調査・収集を終え、今まで全く知られていなかった明版『東廓鄒先生遺稿』を発見し、現存する清以降の刊本との異同を指摘した。また、従来全く言及されることのなかった、世界に唯一現存する孤本である『鄒東廓先生詩集』を発見し、そこに収められている鄒守益の詩の大部分は従来全く知られていなかったものであることを明らかにした。これらの明版諸本の発見が、単なる校訂上の資料ではなく、明代における思想の展開と出版物の流布との密接な関係を物語るものでもあることを指摘し、学界に一定の影響を与え、今後の鄒守益研究に新生面を開くものである。
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