研究課題/領域番号 |
23520061
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
陳 捷 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (40318580)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 中国 / 日中文化交流史 / 書籍交流 / 書籍の移動史 |
研究概要 |
平成23年度は計画通りに国内外の図書館・資料館・档案館・博物館などにおける調査と資料収集を行った。中国では北京の国家図書館・北京大学図書館、清華大学図書館、中国書店などで資料調査と研究の打合せを行い、国内では東京、大阪、京都の関係図書館の他、九州大学図書館、琉球大学附属図書館などで調査を行った。また、明治時代の日中両国の書店の販売目録を調査し、そのデータの整理に着手し、雑誌・新聞の書籍広告と関連記事についてデータ収集と分析を行った。これらの調査研究と今までの研究蓄積をもとに、「日本米沢藩旧蔵宋版三史与近代中日文化交流」(『文献』2011年第3期、pp.151-161、2011.7)、「辛亥革命後の楊守敬」(『国文研ニューズ』No.25、pp.6-7、2011年秋、国文学研究資料館)、「十九世紀七十、八十年代中国書画家的日本遊歴」(関西大学文化交渉学教育研究センター、(中国)出版博物館編『印刷出版与知識環流ー十六石以後的東亜』、pp.435-454、2011.10)、「近代における日中間の古典籍の移動について」(『東アジア書誌学への招待』第一巻、pp.249-275、2011.12)、「姚文棟在日本的訪書活動」(『中国典籍与文化』2012年第1期〔総第80期〕、2012.1)、「『夢梅華館日記』翻刻」(第十九~二十二巻)(『調査研究報告』第32号、pp.71-144、国文学研究資料館、2012.3)などの論考、資料整理の成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初は関東・関西・九州地方の図書館・資料館および中国北京の国家図書館・北京大学図書館、北京市档案館、中国社会科学院近代史研究所・北京市档案館、中国書店、上海図書館、上海市档案館、上海社会科学院、復旦大学図書館などを日本国内外の図書館・資料館・档案館・博物館などを中心に調査と資料収集を進める予定であった。地震の影響で研究活動の始動がやや遅れたものの、上海の調査先を除いて他の箇所においておおむね順調に進めてきた。書籍商の記録、出版販売目録、雑誌・新聞の書籍広告などの関連データの収集整理も着実に進んでおり、一定な成果も挙げてきた。そのため、平成23年度の研究はおおむね順調に進展していると判断できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度において引き続き国内外の図書館・資料館での調査とデータ整理を行い、重要な書籍商に関する個別研究を行う。1.国内外の図書館・資料館・档案館・博物館などにおける調査と資料収集。国内では、関東・関西・東北地方の図書館・資料館などを中心に調査し、中国では、引き続き北京、上海の各図書館・档案館で調査を行う他、四川省図書館、広東省図書館、中山大学図書館、香港中文大学図書館、台湾故宮博物館図書館などの所蔵資料をも調査する。また、それまでに入手した重要資料の翻刻作業とデータ分析を行う。2.書籍商の記録、出版販売目録、雑誌・新聞の書籍広告などの関連データの整理に基づき、両国間の書籍商のネットワークを分析し、重要な書籍商についての個別研究を行う。一方、書籍の購入者および読者に関する情報の調査・整理を行い、この時期に収集されたコレクションの蔵書と書籍購入の記録からその入手方法を探り、古書と新刊本のそれぞれの流通ルートを解明すると同時に、当時の書籍の輸出入の実態およびその影響を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度において地震などの影響で研究計画の開始は遅くなった関係で、当初平成23年度に遂行する予定だった調査の一部を次年度に廻し、研究経費は一部の残額が生じた。平成24年度にこれらの調査も実施する予定のため、前年度の残額を含めた所要額で使用計画を立てた。 平成24年度計画としては、引き続き資料調査、収集と研究を進めるために、一定な程度の物品費の他、国内外の旅費、資料複写費、資料整理、入力補助などのアルバイトに対する謝金が必要と思われる。具体的に以下の費用が必要とされると思われる。1,国内外の図書館・資料館・档案館・博物館などにおける調査と資料収集、学会での研究発表のための旅費の他。2,資料収集の複写費、マイクロフイルム作成費、紙焼写真作成費などが必要である。3,資料入力とデータ整理のための作業補佐に対する謝金。
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