法称(7世紀中葉)の論理学の特質を理解するためにPramanaviniscaya(『知識論決択』)での論理学の基本的見解を要約した。法称は同書において陳那の論理学の新たな解釈を述べている。本研究では、主張命題の定義に関する法称の解釈に焦点を合わせた。その際にはダルモーッタラの梵文写本註釈を拠り所とした。 仏教哲学の後期の展開の解明に法称の論理学の研究成果を応用しつつ、サハジャヴァジュラ(11世紀頃)のSthitisamasa(『定説集成』)における瑜伽行派の定説を論じ、知識が形相を有するという有形相知識論と知識が形相を有しないという無形相知識論を説く二つの瑜伽行派の理論的な相違点を明らかにした。
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