研究課題/領域番号 |
23520070
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研究機関 | 国際仏教学大学院大学 |
研究代表者 |
DELEANU FLORIN 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10271404)
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研究分担者 |
堀 伸一郎 国際仏教学大学院大学, 国際仏教学研究所, 研究員 (60339778)
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キーワード | サンスクリット写本 / ネパール写本 / 写本識語 / ネワール / サンスクリット / ネパール史 / 仏教学 / データベース |
研究概要 |
国内では、東京大学総合図書館・東洋文庫・東海大学付属図書館中央図書館に所蔵されるサンスクリット写本の実見調査を実施した。東洋文庫・東海大学所蔵本については、全写本の識語解読が完了した。調査の過程で新たに比定できた東洋文庫所蔵サンスクリット写本については、『東洋文庫書報』第44号に論文が掲載された。また、研究分担者がイギリス・ロンドンに出張し、大英図書館・王立アジア協会・ウェルカム図書館・ロンドン大学SOAS図書館でサンスクリット写本の実見調査を実施した。王立アジア協会所蔵本については、カタログで書写年代の記載が確認できる全写本(全所蔵写本の約半数)の識語解読が完了した。これら国内外での写本実見調査の際には、その場で識語を解読しノートパソコンでunicodeによる電子テキストとして入力した。書写完了日を明記した写本については、多くの場合、Yano & Fushimi, Pancanga Vers. 3.13を応用して、日付を西暦に換算し書写年代の確定に成功した。識語に含まれる地名・寺院名・王名・筆写者・寄贈者・所有者等の固有名詞を収集できた。調査済み写本の増加にともない、同一筆写者の作成した複数の写本の存在が確認されるに至ったため、筆写者の記名があっても書写年代の記載のない写本の年代推定が実現した。さらに、既存の目録や校訂本に記載される識語に、誤読や年代見落とし等の欠陥が含まれていることが明らかになった。前述の『東洋文庫書報』所収論文のほか、実見調査で精確に解読した識語を利用・参照した複数論文が刊行された。 ネパール写本所蔵機関を中心に、利用案内・閲覧方法やインターネット上で利用できるカタログ・写本画像等へのリンクを集めた、「サンスクリット仏教写本 所蔵機関リンク集」(http://www.icabs.ac.jp/iibs/links.html)にリンクを追加し更新した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネパール写本所蔵機関に出向き、実見調査で識語解読し全てノートパソコンで入力したため、写本識語のデータベースが着実に蓄積されている。研究開始当初に期待していたとおり、識語データの増加により、同一筆写者の作成した複数の写本の存在が確認されるに至ったため、筆写者の記名があっても書写年代の記載のない写本の年代推定が実現した。実見調査で精確に解読した識語を利用・参照した論文が複数刊行された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きネパール写本所蔵機関で実見調査を実施し、識語を精確に解読しながら、その場でパソコン上に入力していく。書写完了日を明記した写本については、日付を西暦に換算し書写年代を確定する。識語に含まれる地名・寺院名・王名・筆写者・寄贈者・所有者その他の固有名詞を収集しデータベース化する。ネパール写本識語関連書籍・論文の文献目録は、より網羅的なものにする。「サンスクリット仏教写本 所蔵機関リンク集」は、新たに発見したものや開設されたものを、その都度追加していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額(B-A)」は309円であった。外国為替レート変動のため、海外出張中の交通費の円換算額が変動した。次年度の実見調査のための旅費の一部として使用を予定している。
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