研究概要 |
(1)インド伝統医学文献の文献学的研究:インド・ラジャスタン州ジョードプルのRajasthan Oriental Research Institute, Jodhpur、Mehrangarh Fort, Manuscript Library、同州ビカネールのAnup Sanskrit Library、Rajasthan Oriental Research Institute, Bikanerにおいて、紀元後7世紀頃の医学者ヴァーグバタの著作の写本を中心に現地調査を行い、特に医学書『アシュターンガ・フリダヤ・サンヒター』と『アシュターンガ・サングラハ』の写本資料の目視確認、コピー作成、写真撮影を行った。また『アシュターンガ・フリダヤ・サンヒター』と『アシュターンガ・サングラハ』を含むヴァーグバタの著作のインド国内で出版された古版本を調査し、コピーおよび写真資料を入手した。そして、これらの資料を比較検討しつつ、順次、解読研究を行った。 (2)インド伝統医学の臨床治療の実態に関する資料収集および調査研究:インド・ケーララ州の伝統医のうち、研究代表者(山下)の同地における先行調査によって協力関係が確立している伝統医の家系を調査対象とし、治療実態に関する聞き取り調査等を行った。インド・タミルナードゥ州コインバトールのThe Arya Vaidya Chikitsalayam & Research Institute (AVC) Hospitalにおいて、現代のインド伝統医学の臨床治療について調査し、症例研究の資料の提供を受け、資料の分析・研究に着手した。 (3)インド伝統医学文献の解読・分析によるインド医学理論の研究:ヴァーグバタの弟子ジャッジャタによる著作『ニランタラパダ・ヴィヤーキャー』の写本解読を行い、その成果に基づいて校訂テキストの作成を進めた。
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