研究課題/領域番号 |
23520074
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
手嶋 英貴 京都文教大学, 総合社会学部, 准教授 (30388178)
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キーワード | インド / ラージャスーヤ / 灌頂 / マハーバーラタ / ラーマーヤナ / カーリダーサ / プラーナ / ジャイミニーヤ・アシュヴァメーダ |
研究概要 |
平成25年度(本研究課題三年目)は、前年度「実施状況報告書」の「12. 今後の研究の推進方策 等」で当年度に推進する予定としていた(1)「文学研究」を行った。その内訳は『マハーバーラタ』第13章(アシュヴァメーダ章)と『ラーマーヤナ』(第1章および第7章より)、さらにカーリダーサ作『ラグヴァンシャ』、バヴァブーティ作『ウッタララーマチャリタ』、『パドマプラーナ』および『ジャイミニーヤ・アシュヴァメーダ』におけるアシュヴァメーダ関連部分の相互比較であり、これによって文学モチーフとしてのアシュヴァメーダの発展史を跡付けた(後出〔学会発表〕参照)。 次に、課題一年目から行ってきた「儀礼研究」の推進過程で新たな発見が生じたため、(2)アシュヴァメーダとラージャスーヤの比較研究を行った。その内訳は、アシュヴァメーダに参画する「馬の護衛たち」の持つ役割、および構成メンバーの社会的立場が、同じく王権に関わるヴェーダ祭式であるラージャスーヤにおける「灌頂儀礼の参加者たち」のそれと類似している点に着目したものであり、両者に「バラモン、王族、庶民という三階層が持つ特性の結集」という共通コンセプトが見られることを明らかにした(後出〔学会発表〕参照)。 上記のほか、(3)儀礼研究の付帯資料となる『ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ』第11章の新校訂テキスト作成を進めた。 当初の研究計画において、国内外の学会における成果発表を進めるとしたが、本年度は国内学会および研究会に加え、インド(コリコーデ市)で開催された6th International Vedic Wokshopで個人発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画に挙げた主要な研究(儀礼、思想、文学の三領域の横断的研究)は、おおむね順調に進んでおり、平成26年度末には予定通りの成果が得られる見込みである。 ただし、儀礼研究の付帯資料である『ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ』第11章の新校訂テキスト作成は、上述「研究実績の概要」の(2)にあたる研究作業が追加的に生じたため、全体の完成には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成26年度は、(1)当初計画にあげた三領域のうち、最後の「思想研究」を推進する。また、平成25年度に行った「文学研究」の成果発表を専門の国際学会(7th Dubrovnik International Conference of Sanskrit Epics and Puranas)で行う予定である。また、当初計画から唯一遅れて進捗している『ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ』第11章の新校訂テキスト作成に注力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね予定通りの執行を行ったが、見込みに比して若干の端数が生じたため。 少額であるため、特段の計画変更は考えていない。
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