研究課題/領域番号 |
23520076
|
研究機関 | (財)東方研究会 |
研究代表者 |
田中 公明 (財)東方研究会, その他部局等, 研究員 (00171744)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 仏教図像 / サンスクリット写本 / 曼荼羅 / 図像データベース |
研究概要 |
昨年夏に行ったネパール調査では、カトマンズのVajra PublicationsとCGを使用したチベット・ネパール系曼荼羅の図像データベースの英語版刊行の打ち合わせを行い、研究代表者が自ら翻訳した原稿の英文校閲費用を科学研究費から支弁した。3月末の時点では、すでにレイアウトの初校ゲラが出ている。いっぽうヒマラヤ地域のムスタンに遺される15世紀の貴重な仏教壁画の調査について、Royal Mustang ExcursionのJigme Bista氏と打ち合わせを行った。(調査自体は本年4月~5月に実施)いっぽうナポリ東洋大学、IsIao、ハンブルグ大学が共同で刊行しているManuscripta Buddhicaシリーズに、NagabodhiのVimsatividhiのサンスクリット校訂テキストと英訳を寄稿する件は、すでに英文校閲を終えているが、ナポリ東洋大学側の事情で、刊行が大幅に遅れている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アジア各地の仏教美術と密教文献の調査・研究については、チベット文化圏の政治的事情により調査を見合わせた地方もあるが、おおむね順調に進んでいる。いっぽう「その成果を世界に発信」という点については、発表を予定していたManuscripta Buddhicaシリーズの刊行が大幅に遅れているため、現在のところ優先順位を後回しにせざるをえなくなっている。これに対して、CGを利用したチベット・ネパール系曼荼羅の図像データベースの英語版については、昨年秋にVajra Publicationsのレイアウト案が完成した。ただしコミュニケーションの不足から、レイアウトや校正にかなりのミスが見られるので、今後入念に点検を行い、なんとか平成24年度中の刊行を目指したい。いっぽう研究代表者が、これまでに撮影した美術品や遺跡の写真については、すでに数千点のフィルムのデジタル化を完了したが、いまだデータベース化するには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
Manuscripta Buddhicaシリーズの刊行が、イタリア側の事情で大幅に遅れているため、今後はCGを利用したチベット・ネパール系曼荼羅の図像データベースの英語版に重点を置き、平成24年度中の刊行を目指したい。いっぽう研究代表者が、これまでに撮影した美術品や遺跡の写真については、すでに数千点のフィルムのデジタル化を完了しており、データベース化用のソフトウェアも購入したので、平成24年度から撮影した年次や調査別に、順次データベース化の作業を進めたい。いっぽうサンスクリット写本のマイクロフィルムについては、通常のフィルムスキャナではデジタル化できないため、現在種々の入力方法を検討している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年のネパール調査で情報収集と打ち合わせを行った、ネパールのヒマラヤ地域ムスタンに遺される15世紀の貴重な仏教壁画の調査については、すでに本年4月末から5月のネパール調査旅行で実施し、大きな成果があった。この他、本年秋にはインド中部の仏教遺跡の調査を予定している。さらに24年度は、複数の国際学会や研究機関から、学会参加や研究協力の要請を受けているので、これらの機会も活用し、機動的に研究を進めたいと考えている。
|