諸宗教の多様性に気づいた近世ヨーロッパの思想家たちは、諸宗教の本質を自然的宗教という形で探究した。その自然的宗教は、思想家によってその名称は異なるものの、彼らにとっての理想的宗教である。この自然的宗教と多様な諸宗教との関係性は、自然的宗教を含んでいる限りでの諸宗教を認める立場と、諸宗教を認めそれら諸宗教を媒介として自然的宗教を実現しようとする立場とに分かれる。いずれの立場であれ、この自然的宗教を持つことにより、彼らは人間存在の現実的あり方を改め、理想的あり方を実現し、現在の生あるいは将来の生において救いに与ろうとする。
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