本研究は、戦前の京都帝国大学(以下、京大)文学部史学科の国史学教授・西田直二郎(1886-1964)とその門下生を中心として展開した「京大文化史学派」における民俗宗教史研究を、その理論的系譜、調査技法、資料集積過程、研究者ネットワーク、同時代社会との関連などを多角的に検討し、宗教学、歴史学、民俗学、文化人類学などの分野に多面的な影響を残した「京大文化史学派」の学問史的意義を具体的に解明することを目的とする。 平成26年度は、前年度に引き続き、京都大学所蔵「民俗調査会」資料の整理分析を実施、資料公開にむけての整理をほぼ完了させた。また、大阪市立大学学術情報総合センター・新村文庫、新村記念財団・重山文庫、南方熊楠顕彰館、皇學館大学・原田敏明毎文社文庫などの資料調査を実施した。 このほか、京大文化史学派の民俗調査に関連する再訪調査として、京都市内の地蔵盆行事、京都府京丹後市・深田部神社祭礼のフィールドワークを実施した。 上記の成果の一端は「主な登場人物3―京大文化史学派と宮座研究―」(2015年3月15日@京都大学人文科学研究所共同研究「日本宗教史像の再構築」ワークショップ「宮座をめぐる冒険」)などで報告した。 また、「中国大陸と水野清一」「宮本常一と水野清一」「『遠野物語』と人文研」「南方熊楠と人文研」(いずれも慶応義塾大学出版会ウェブ連載「人文研探険」)などを刊行した。
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