現在中国では、宗教的な活動や慣習の意味が問い直されている。本研究では、主に中国における宗教についてのとらえ方の現代的変化を、聖性の在り方そのものと聖性が現れる「場所」や「もの」の在り方の具体的な変化をとおして明らかにしようとした。その結果分かったのは、政治的には宗教活動場所を特定の場所に限定しようとする力が働く一方で、そうした場所での活動に飽き足らなくなった人々が新たな活動場所を作ったり、世俗的な生活そのものを宗教的な修業の場として読み替えたりして、伝統的なものとは異なる聖なる場所を創造していることだった。
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