研究課題/領域番号 |
23520090
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
山田 政信 天理大学, 国際学部, 教授 (70434975)
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研究分担者 |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 准教授 (30303572)
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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キーワード | 国際情報交流 / 宗教学 / 宗教社会学 / デカセギ / デカセギ帰還者 / プロテスタント / ブラジル |
研究概要 |
平成25年度は次の研究・成果発表を実施した。 国内調査 A)ブラジル系教会に関して ①ミッション・アポイオ豊田教会において参与観察およびインタビュー調査、質問紙調査。②ミッション・アポイオ名古屋教会において参与観察及びインタビュー調査。③神の王国ユニバーサル教会名古屋教会において参与観察を行い、平成26年度の調査の可能性を探った。④豊田市役所(子ども家庭課、医療保険年金課、学校教育課、生活福祉課)、豊田市国際交流協会、豊田市雇用対策協会に外国人就労者にかかわる調査・データ作成を依頼。B)韓国系教会に関して 地方都市(名古屋市)における韓国系宗教組織の女性会を調査対象にして、移住者によるネットワーク形成という視点から移住女性の民族関係の実態とその意識の相違に関する聞き取り調査を行った。C)インドネシア系教会に関して 本年度は予算を使わなかったため、特になし。 海外調査 A)ブラジル ①ミッション・アポイオ教会信者研修施設クレイア(国際リバイバル・宣教センター)を視察。②ペルナンブコ州レシーフェ市近郊に「再移住」したミッション・アポイオ教会信者の宗教動向調査。③パラナ州マリンガ市の日系宗教教団(ミッション・アポイオ教会、天理教、創価学会、世界救世教、ホーリネス教会、プラハの幼子イエス教会、浄土真宗日伯寺)において、デカセギから帰国した信者にたいして日本滞在中と帰国後の生活実態について質問紙調査。 成果発表 ①アジア・アフリカ研究ラテンアメリカ学会(ALADAA)[開催地:アルゼンチン・ラプラタ大学]における部会(日本:多文化社会からインターカルチュラル社会へ)にて研究成果を発表。②ミッション・アポイオ豊田教会における参与観察をもとに論文執筆。2014年度に出版予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内調査 A)ブラジル系教会に関して ①ミッション・アポイオ豊田教会での参与観察・インタビュー調査に加えて、豊田市役所・豊田市雇用対策協会から得られた外国人就労者についてのデータに基づいて、日本産ブラジル系プロテスタント教会が橋渡し型社会関係資本をもとに、社会的に排除されがちな信者らが自由に教会を移動することのできる脱伝統的なコミュニティであることを明らかにした。この研究成果は2014年度中に論文として発表予定である。②ミッション・アポイオ教会傘下の諸教会の設立史をまとめるべく、教団関係者に協力を依頼している。③研究スケジュールに挙げていた神の恵み国際教会が閉鎖され調査が不可能になったものの、それに代わる調査対象として神の王国ユニバーサル教会での参与観察・調査の可能性を探っている。日本産ブラジル系プロテスタント教会のなかではメディア布教に力を入れ、ブラジル本国の教団と太いパイプでつながっていることから、ミッション・アポイオ教会との比較研究が期待される。B)韓国系教会に関して 平成25年度の調査は、韓国系宗教組織の女性信徒のネットワーク形成の実態を明確にすることを目的としていた。調査を実施した結果、宗教組織における子ども向けの韓国語クラスや日本語クラスを通じた子育てのネットワークがどのような意味をもっているのかを調査することができた。 海外調査 パラナ州マリンガ市の日系宗教教団にて質問紙調査を実施した。教団によって回答数に差があるため教団ごとの比較はできない。しかし、昨年度の調査で得られた知見のように、教会という宗教財が親族関係や知人同士のネットワークに肯定的に機能することで祖国への再適応を容易にしているケースがいくつか確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
国内調査 ①ミッション・アポイオ教会の国内の諸教会の設立史をまとめる。②神の王国ユニバーサル教会信者の入信経緯、活動内容、デカセギの経験が宗教生活に与える影響、日本における教団設立の経緯を明らかにする。③二世信者のアイデンティティに関する実態調査を行い、彼らのアイデンティティの葛藤と形成に宗教がどのように働きかけているのかを明らかにする。④国内学会での発表。 海外調査 ①ブラジルのミッション・アポイオ教会のなかでデカセギが設立した諸教会の設立史をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者(山田)が行った国内調査は科研費から支出しなかったため、約10万円の未使用分が生じた。研究分担者(魯)は学会発表に科研費の一部を使用したが、4万円近くの残金が出た。研究分担者(奥島)は、分担額の全額を使用しなかった。 次年度は、当初の調査予定(海外・国内)に国内調査の回数を増やす。なお、調査の進捗状況に応じて、1年間の補助事業期間延長も考えている。
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