研究課題/領域番号 |
23520091
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研究機関 | 郡山女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
何 燕生 郡山女子大学短期大学部, 文化学科, 教授 (00292186)
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キーワード | 禅文献 / 入宋僧 / 仏教学 / 思想史 / 中国 / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度は、昨年の実施状況を踏まえながら、まずは連携研究者と研究協力者に早くから連絡を取り、意見交換のための研究協議を行い、年度の方針を固めることからスタートした。 まずは国内における文献調査と寺院調査を実施した。入宋僧がかつて生活していた京都およびその周辺の寺院が現在大半観光化され、修学旅行の研修先として指定されている中、入宋僧たちがあるいは伝説として伝えられ、あるいは史実として語られている現状を確認した。そうした中、これまてあまり知られていない事柄をいくつか新たに入手し、大きな収穫だったと言える。 次は昨年と同様、中国における関連寺院での調査を実施した。入宋僧たちが実際に学んでいた江南地域の禅宗寺院で現状を調査したほか、道元の曹洞禅の成立に大きな影響を与えたとされる北宋時代の芙蓉道楷禅師の道場だった大洪山での実地調査を行った。現在は「慈恩寺」という寺名で復興されており、2013年度秋にすべての工事が完成される予定だそうだが、その工事現場を実際に視察したのである。日本には「芙蓉道楷禅師のお袈裟」とされるものがいくつか残っており、それらについての確認調査も必要になってくると思われる。また、中国版の「社会参加仏教」とも言える「生活禅」の提唱者である浄慧法師を黄梅県にある四祖寺や五祖寺において訪問し、「生活禅」の理念とその実践についても確認したが、現代における禅の新しい受容という新たな研究課題を得る結果となり、これも大きな収穫だと言えよう。 さらには昨年と同様、国内外における学会研究会やシンポジウムにも積極的に参加したり発表したりすることを試み、意見交換や情報の収集につとめたのである。国内外の研究者たちと交流することはとても意義のあることであり、今後の研究の進展には寄与することが大きいと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①震災復興が2年経過したこともあって、本課題研究の遂行にようやく時間的な余裕ができたため、国内外における調査や学会、研究会、シンポジウムへの参加とその研究発表が順調に遂行されたこと。 ②連携研究者や研究協力者との意見交換が早い段階からできたため、これまでの研究活動を踏まえた反省をし、新たな研究課題を得たりして、有意義な活動ができたこと。 ③国内はもちろん、海外の国際シンポジウムに参加発表を行うなどを通じて、関連分野の研究動向の把握に努めることができたこと。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる平成25年度は引き続き連携研究者と補助研究者との連携協力関係を綿密に構築し、その成果を可能な限り本研究に反映させ、学際的な研究成果を目指すことを前提に、具体的に以下のような推進方策を考えている。 ①できるだけ早い時期に連携研究者を交えた研究打ち合わせを実施すること。 ②本研究に関する文献収集と実地調査を引き続き実施すること。この研究は夏休みと冬休みに実施する予定である。 ③これまでと同様、本研究の成果を日本宗教学会など、申請者が関係している国内外の学会や研究会で発表し、学界への発信に努めること。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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