19世紀末に登場した精神分析を、西洋における「分析(/解析) analysis」概念の歴史に新たな段階を画するものとして位置づけた。古代ギリシャの幾何学と論理学において「分析」と呼ばれていた操作の検討から、その主要な三つの契機として「想定」「遡行」「分割」を指摘し、「分析」概念がさまざまな学問分野をこえて引き継がれてゆくなかで生じた変化を、これら三契機の構成する概念的布置の変容として記述した。最終的にはフロイトとラカンの精神分析が、「分割」に縮減された近代的な「分析」概念を超えて、「想定」を中心とした三契機からなる独自の「分析」概念を提示していることが明らかになった。
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