本研究では、思想・美術の空間的歴史軸の構築を目的とし、その第一歩として空間表現と時間表現との関わり方の変遷を明らかにした。美術に関しては、そもそも空間芸術である美術作品を空間表現の面から考察することは難しくない。しかし時間そのものの表現に美術は不向きであり、まして、古代美術ではその表現は稚拙である。従って、中国の古代美術においては雲気および龍鳳などの神獣の表現から気の思想を跡づけることこそが、時間表現を検証する手がかりとなるのかも知れないということがわかった。また、思想的面では、空間と結びついた「四神獣」の成立が五行思想の展開と深い関わりを持つものであることを明らかにした。
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