平成26年度は調査としては、10月に国立歴史民俗博物館で開催された特別展示「紀州徳川家伝来の楽器ー笛ー」を視察し、大名の雅楽、礼楽への関心や教養を確認してきた。紀州徳川家だけではなく、尾張徳川家の蓬左文庫にも雅楽関係の史料が多く所蔵されていることからしても、雅楽を通して公家と武家との関係を再考する必要があるのではないかという知見を得た。また12月には早稲田大学演劇博物館で開催中された「響きで紡ぐアジア伝統弦楽器展」を視察してきた。日本という枠組みを超えて東アジアという枠組みの中で礼楽文化を比較する必要があることをあらためて確認できた。翌3月に蓬左文庫で音楽関係の資料を調査蒐集した。発表としては、2015年1月に京都市立芸術大学において蘐園学派、とりわけ水足博泉における「楽」の需要について報告し、3月には愛知大学で東アジアの基層文化という視点から「礼楽」の問題を発表した。
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