本研究では、菅原道真の霊を天神として祀る宗教施設、すなわち安楽寺・北野社・吉祥院の三聖廟に捧げられた詩序・願文類を「聖廟文学」と呼び、その思想・文学的背景の解明を試みた。聖廟=神となった菅原道真に対する言葉の捧げ物には、白居易の詩文の影響が強いことを証明し、平安朝文人貴族の天神信仰の実態を明らかにすることができた。研究期間中に、中国・韓国・台湾・日本において、32回の研究発表・招待講演を行い、12本の論文・訳註を公表した。2014年11月23日には、国際シンポジウム「天神信仰と菅原道真」を開催し、アメリカ・中国から基調講演者を招き、天神信仰の研究成果を一般にも公開した。
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