本研究は、A・ネグリとM・ハートによる帝国論の新展開と人文・社会諸科学における情動論的転回が共有する意義と射程を明らかにしつつ、今日のグローバル資本主義の中で情動が果たす極めて重要な働きを分析した。特にネグリとハートの『コモンウェルス』を翻訳するとともに、メディア理論の最新の成果も取り入れつつ、(1)〈帝国〉の情動諸装置のメカニズム、(2)グローバルな制御社会における情動の流通と調整、(3)ソーシャル・メディアによる情動の捕獲等について、研究を進めることができた。これらの研究成果は、今日のグローバル化したネットワーク社会の中で情動の諸相を探究するためのプラットフォームを提供するものである。
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