1960年代以降、個々の芸術ジャンルの境界が動揺しモダニズムの媒体特定性が失効する過程の中で、自己の心身とその環境・周囲世界へ同時に働きかける「自己変革」のアートが突出してくる。その具体的な事例の調査・研究とともに、共通する思想的文脈として観察される古代(前近代)ないし非西洋の生命論的宇宙観/自然観について考察した。 なかでも、(1)自己変革の作用が明示的に認められるダンスを軸に、老人・子ども等社会的に周辺化されてきた弱い主体の再評価、(2)コンセプチュアル・アート関連での「エネルギー・アート」という領域横断的カテゴリーの吟味によって、現代アートと古代思想との関連を再考する道筋が拓けた。
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