本研究は、スペインの植民地を中心とする新大陸の先住民像に焦点を当て、その類型と系譜、社会的機能を明らかにしようとするものである。ペルー、メキシコ、およびヨーロッパ各地で調査をおこない、そこで得られた作品および一次資料の分析に基づき、その表象が、自然科学的探査の成果と、古代のテクストなどの典拠に由来する人文主義的関心の双方に依拠して構築されたことを明らかにした。またその人工的なイメージは、植民地の先住民の自己表象の形成に重大な影響を与えたこと、先住民エリートの植民地社会への適応を演出する図像的な装置の役割を、祝祭などの場において果たしたことを明らかにした。
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