本研究期間を通してクロード・カーン(とムーア)の初期のジャーナリズム活動、パリ時代の前衛劇への関心及びシュルレアリストとの交流の中での文筆活動とセルフポートレート及びフォトモンタージュの制作、そしてジャージー島移住後の反ドイツ軍活動について、関連のアーカイヴやBNFでの一次資料他による調査・研究を行い、このユダヤ系フランス女性の「セルフポートレート」を中心とした多領域に亙る独自な活動の全体像を統括的に把握することができた。また、20世紀以降の女性アーティストのセルフポートレートにおける「自己同一性の転覆」の諸相を分類し、これらの現代的傾向の先駆者としてカーンを位置づけることができた。
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