研究概要 |
ポッセッソ研究の基本文献たるFrancesco Cancellieri, Storia de’ solenni possessi de’ sommi pontefici(Roma, 1802)を道しるべとし、劇場祝祭の観点からポゼッソに関する情報に富む、Cruciani, Teatro nel Rinascimento Roma 1450-1550, Romaも用いながら、ルネサンス期の教皇のポッセッソについての、テクストと図像双方の一次資料の収集と整理をおこなった。教皇庁の公式の記録はもとより、ポッセッソの式次第の準備・実行に大きな役割を果たした教皇庁式部官ヨハンネス・ブルクハルトの日記、同時代のローマの祝祭・式典についての情報に富むステファノ・デッリンフェッスーラの日記、その他同時代人の書簡などの資料収集をおこなった。ついで、ポッセッソの沿道の装飾に関する調査研究として、15、16世紀当時のローマ地図を利用し、上記の調査結果と照らし合わせ、ポッセッソの行程を確認した。その上で、その沿道の各種装飾とその装飾がなされた場所との関係について、装飾の注文主、装飾形態などから総合的に考察をおこなった。また比較事例として、ヴェネツィア共和国における総督と祝祭の関係についても調査をおこなった。さらに、近代市民社会におけるポッセッソの構成要素の受容に関する調査研究として、ポッセッソで用いられた仮設凱旋門やタブロー・ヴィヴァンが、近代以降の市民社会においていかに受容されていったかについての事例も収集した。
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