ニコラ・プッサンは、17世紀フランス古典主義美術を代表する画家とされるが、彼の活動の拠点はローマにあり、その芸術を結実させたのはローマであった。そうしたプッサンが、フランスにおける古典主義美術の成立期に、母国の美術動向に対して直接的にはどのような役割を果たしたのだろうか。本研究は、リシュリューが行なった芸術政策に画家が積極的に関与し、フランス美術の方向性を左右し得えたことを、(1) フランスにもたらす模範としての古代美術の選別とその複製製作、(2)古典主義的な天井画のモデルを示したルーヴル宮大回廊の装飾、(3) パリの愛好家に向けたタブローの制作、という画家が関与した3つの活動から検討した。
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