研究課題/領域番号 |
23520129
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
石松 日奈子 清泉女子大学, 文学部, 非常勤講師 (80424307)
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キーワード | インド / 中国 / 供養者像 / 寄進者像 / 仏教 / 道教 / ヒンドゥー教 / ジャイナ教 |
研究概要 |
平成24年度の研究実績。 24年4月~11月 昨年度の調査写真の整理、およびデータのパソコン入力(学生アルバイト)をすすめるいっぽう、今年度のインド調査の時期や調査地について、同行する協力者と相談しながら、現地との連絡等準備を進めた。 25年2月17日~25日 インド調査。今年度の調査地は西インドの石窟寺院とインド北部の博物館で、計9日間の調査を実施した。訪問先は、マハーラーシュトラ州のアウランガーバード石窟、ピタルコーラ石窟、アジャンタ石窟、ニューデリー国立博物館、チャンディガル博物館である。写真撮影を中心に、石窟内のスケッチや造像内容の記録も行った。チャンデイガル博物館では特別に館蔵の画像データの提供を受け、また収蔵庫内の作品についても調査することができた。帰国後、調査で撮影した写真データを整理・保存する作業を進めている。 また、上記作業に並行して参考文献の収集、購入、および関連文献の発送等をおこなった。 いっぽう、24年8月に神戸大学で開催されたシンポジウム「敦煌・シルクロード国際学術研討会」に参加し、「敦煌莫高窟第275窟の造営年代について ―供養者図像による北魏造営説を中心に―」と題する発表を行った。その後、発表内容は論文として同シンポジウムの報告書(25年2月刊行済み)に掲載された。また、24年11月に京都龍谷大学で開催された「シルクロードの仏教文化;ガンダーラ・クチャ・トゥルファン」に出席、全体討議に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度はほぼ7割と判断している。理由は以下のとおり。 本研究は、インド(古代ガンダーラを含めて)と中国の宗教美術(仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、道教など)の供養者(寄進者)像を比較研究するために、現地調査を行って作例の所在確認、造像状況など、情報を集めることが大きな目的である。このために、インドの仏教およびヒンドゥー教の石窟寺院と各地博物館、中国では仏教に加えて道教関係の石窟や個体造像(とくに過去の研究で調査を実施していない四川省と江蘇省)の現地調査を計画した。このうち、インド地区に関しては、23年度にインド東部の遺蹟と博物館を効率よく回ることができた。さらに24年度は、西インドの石窟寺院(アジャンタ、アウランガーバード、ピタルコーラ)とインド北部の博物館で、石窟の一部として造られた供養者像、単体彫刻、壁画の作例を調査することができた。撮影した写真データは厖大であるが、現在整理作業をすすめている。インド地区の現地調査は23年度と24年度でほぼ終了した。 のこり一年間(25年度)は中国地区の調査を実施するとともに、研究成果をまとめる作業に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き調査資料をパソコン内で整理し、画像やデータをパワーポイント形式で保存し、それらを活用しながら、インドと中国の供養者像表現の類似点と相違点を明らかにし、両地域における供養者像の意味や機能について考えていきたい。 そのために、今年度は計画どおりに中国での現地調査を行う。とくに、過去において調査が不十分な場所、公表されているデータが不十分な地域を厳選して訪問する予定である。具体的には四川省成都市の博物館と研究機関、江蘇省南京市の博物館と研究機関を計画している。 また、本研究では中国独自の宗教である道教の作品や遺蹟も研究対象とするため、これらのデータ収集も今年度行う計画である。これに関連して、陝西省や山西省の博物館や道観を加える必要が出るかも知れない。 さらに、最終年度としての「研究のまとめ」をおこない、報告書の作成を目指している。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の研究費使用計画は以下のとおりである。 1.国内旅費:日本国内に所在する関連作品の調査や、関係する研究会に参加するため。 2.外国旅費:中国調査。訪問先=四川省成都市と江蘇省南京市。さらに、陝西省や山西省の道教遺蹟や道観、博物館、研究機関なども検討している。 3.物品費:参考文献、プリンタインクなど。 4.謝金:現地調査における専門知識の提供、資料整理のための学生アルバイト。 5.その他:成果報告書の印刷代。
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