研究課題/領域番号 |
23520136
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
菅原 真弓 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10449556)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 浮世絵 / 明治 / 月岡芳年 / 美術史 / 版画 / 複製媒体 |
研究概要 |
本課題初年度となった平成23年は、研究に必要な物品(カメラ、PC、スキャナなど)や書籍の購入を行い、まずは研究環境の整備を新たに行った。また、国内機関での研究調査を積極的に実施した。研究調査については、現在、執筆を進めている書籍『評伝 月岡芳年』(仮称)のため、月岡芳年関連の調査を主に行った。 月岡芳年は、修士論文のテーマでもあり、ごくごく基礎的な年譜、作品総目録、総文献目録の作成は、当時行っているが、やはり精緻な内容とは言えない。今回これらを詳細に見直し、新たに、修士論文執筆以降の研究成果なども踏まえて、作家研究の基礎資料を作成した。24年度はこれをまとめ、データベース化していくこととしている。 また23年7月に二玄社から『謎解き浮世絵叢書 月岡芳年「和漢百物語」』を刊行し、一つのシリーズに関する研究成果はまとめることができた。さらに23年度の研究を踏まえ、24年秋刊行の本学紀要『GENESIS』に「月岡芳年美人画考」を執筆した(入稿済み)。後者では、これまでにほとんど研究がなかった、芳年描く女性像について、年代を追って、またテーマごとに分類をして作品を挙げて検討をし、年代ごとのモティーフの変化についてまず論を立てた。また加えて表現についても年代を追って検討を加え、作風の変化についても述べた。その結果、女性像の年代によるモティーフの変化は、すでに発表した自身の研究(「月岡芳年歴史画考」『美術史』141冊、1998年)で行った歴史人物画と、ほぼほど同様に推移することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成23年度中に月岡芳年研究をまとめ、単行書として出版する計画としていたが、予定していた以上に本務校の業務が多忙となり、これは叶わなかった。資料整理と新たな資料化については進捗を見せており、また論文等については2本を完成できることができたが、やや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、今年度秋の科学研究費申請(出版)を目指し、まずは執筆を進めている『評伝 月岡芳年』(仮称)の完成をひたすらに目指して研究を進めていくこととする。昨年度に整備の準備を終えた研究資料の整理、データベース化などの作業をも併せて行うこととする。なお本年、月岡芳年の展覧会(於・太田記念美術館、本年10月予定)が開催されることとなり、この企画、展覧会開催に協力をすることとなった。同展図録および同館紀要にも、月岡芳年についての論考をご掲載いただけるはこびとなった。 今年度中に月岡芳年についての研究をまとめたい。なお併せて本学所蔵の浮世絵版画作品についても、本務のかたわら調査をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に調査旅費と文献購入費に充当する。また加えて、データベース作成のためのアプリケーションなどの購入も予定している。
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