ルーモールは、美学と美術史学という2つの学科が近代的な学として成立する際に大きな影響を与えた人物である。しかし、この2つの領域で彼が残した多くの業績の相互関係や共通基盤については、これまで充分には明らかにされてこなかった。本研究では、このルーモールを、(1) イタリア初期版画研究(美術史学)者として、(2) 料理と食卓の社交哲学(美学)者として、さらには、(3) 多才な文人、画家、芸術後援者、美術教育者、愛国的貴族などとしてとらえながら、その業績を、同時代の同一のコンテクスト内に置いて分析することで、専門学科の枠組みには収まりきらないこの稀有な人物の歴史的、現代的意義を明らかにした。
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