研究課題/領域番号 |
23520145
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
田中 隆充 岩手大学, 教育学部, 教授 (20374861)
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キーワード | 接ぎ手 / 木工玩具 / 木工デザイン / 幼児用玩具 |
研究概要 |
高雄師範大学のYen-yu-Kang教授と木材の接ぎ手を応用した玩具の基礎的な意見交換を行った.それらの意見を基軸にソリッドワークス社の三次元CADを使用し,接ぎ手部分の凹凸を1セットとしてデジタル化し,そのデータをもとに幾つかの接ぎ手を組み合わせて,立方体のパズル(組み木)を3Dプリンタで造形化し小学校で観察実験を行った.観察実験で用いた玩具は三次元CADによる設計プロセスにおいて,パーツが解体された状態から立方体に組みあげるプロセスを楽しむことを目的にした.しかし,立方体に限らず,幅広い造形の可能性があることが観察実験を通し観察された.また,組みあがりが立方体ではなく自由に形を作らせる実験も行った.この観察実験は組み立てる過程で被験者が接ぎ手への興味や玩具としての難易度を知る目的も含まれる.予想を上回る多くのバリエーションをこの観察実験では制作でき,それらを観察すると具体的にモチーフが想起されるものであった一方で,造形において具体的なモチーフに縛られずに造形の創作を行っているものもあった. また,別の観察実験では,上述とは異なるデザインのパズルを用いて行った.パーツの数を減らし,接ぎ手の形状が単純な設計にしたものである.実験において,始めに立方体を組む課題を与えると,約30秒で立方体を完成させた.前述の観察実験で用いた組み木と比べると,この組み木は,立方体を作る際の造形のアシストとなるような設計があったものと思われ,幼児用の玩具を設計する際はパーツの数と接ぎ手の特徴的な形状も重要となることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会発表等を当初の計画以上に行うことができ,その発表でのディスカッションで得た意見等も参考に,当初予定した学会誌への論文が予定より早く2012年度に採択された.また,日本デザイン学会春季大会における本研究に関する学術発表ではグッドプレゼンテーション賞を受賞した.
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今後の研究の推進方策 |
学会誌への論文投稿での査読者との修正プロセスの段階で幾つかの課題点があがったため,今後は海外の研究者との意見交換と観察実験を数回行い,研究の質を高める予定である.また,玩具のプロトタイプが教育用としての応用にも生かせる可能性がでてきたため,その点についても考察したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
観察実験に使用するためのプロトタイプの加工費,観察実験でのアシスタントを予定している大学院生への謝金に使用を計画している.また,本年度,打ち合せ等を予定していたBen Hughes氏(申請時はCentral Saint Martins College of Art and Design,現在は中国の中央美術学院特任教授)の異動等があったため実現できず繰越金が発生したが,次年度は異動先の国の大学等での意見交換を予定している.また,協力していただいている海外の研究者から紹介してもらった研究者(台湾,中国,タイ,モンゴル,英国等)との打ち合せも計画しており,そのための旅費として使用を計画している.
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