研究課題/領域番号 |
23520146
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
照沼 かほる 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (60312766)
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キーワード | アメリカ文化 / 映像文化 / ゴシック文学 / ジェンダー / 英米文学 |
研究概要 |
本研究では、アメリカにおいて19世紀からさまざまな形で展開される「少女・女性の成功物語」を、ゴシック的要素と結びつけることで、「プリンセス(願望の)物語」と位置づけ、それを用いることで、アメリカの映像作品で描かれる「プリンセス」と、一見それとは対照的とみなされてきた「戦う女性」が、ともにゴシックの呪縛を帯びた、共通の矛盾・問題点をはらんでいること、またそれが広くアメリカ文化に浸透しつづけている女性像の問題と結びついていることを論じるものである。 研究の3年目にあたる25年度は、ゴシック文学関連の資料、女性ゴシック関連の資料、アニメーション関連の資料の収集および分析を行うとともに、前年度十分に行えなかった「プリンセスもの」と「戦う女性もの」の映像作品について、収集・分析および関連付けを行った。しかしながら、研究1年目の遅れ(東日本大震災および東京電力の原発事故による被害とそれに伴う業務と活動によって研究に費やせたはずの時間が確保できなかったための遅れ)が、今年度の研究の進展にも影響を残しており、予定していた成果を仕上げるまでには至らなかった。 また、当研究を進める中で、当初は想定していなかったジャンル(TVドラマシリーズ)に、重要な作品が多くあることがわかり、このジャンルの映像作品や資料も対象に含めるべきであると判断し、当該作品・資料の収集と分析にも着手したが、今年度中には手配が間に合わなかったもの、入手できなかったものもあり、次年度も引き続き収集にあたり、分析とまとめを行う必要が生じた。そのため、研究継続のための期間延長申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1年目(23年度)の遅れ(東日本大震災および東京電力の原発事故による被害とそれに伴う業務と活動によって研究に費やせたはずの時間が確保できなかったための遅れ)が、2年目(24年度)に影響を及ぼし、その遅れを取り戻すべく今年度も努めたが、勤務校での委員会等の業務量が増してしまったこともあり、3年目(25年度)の研究の進展にも、まだ影響を残す結果となってしまった。 また、当研究を進める中で、当初は想定していなかったジャンルを、研究対象に含めるべきであると判断し、それに関する作品・資料の収集と分析にも着手したため、さらなる時間が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで扱ってきた資料に追加すべき関連図書の収集および読解・分析を行いながら、引き続き映像作品の収集・分析・関連付けを進め、体系的にまとめる。扱う作品が非常に多数であるため、時間の確保に特に努める必要がある。 また、研究の成果を紙面で発表し、インターネットなどのメディアを通じて、広く紹介・情報提供を行う準備を進める。 担当授業科目においても、情報提供・意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当テーマの研究に重要であると考えられる文献・作品の一部が来年度出版予定などで、25年度中に入手できないことがわかった。また、研究を進める中で、当初は想定していなかったジャンルに、重要な作品が多くあることがわかったが、期間中の手配が間に合わなかったもの、未発売のものがあり、未使用額が生じた。 さらに、当研究の成果の一部となる出版物(論文集)の完成が予定より遅れており、未使用額が生じた。 25年度に手配できなかった文献・作品の入手と、研究成果の発表、および関連する研究会への参加のために、未使用額を充てることとしたい。
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