研究課題/領域番号 |
23520148
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斉藤 泰嘉 筑波大学, 芸術系, 教授 (40282347)
|
研究分担者 |
岡崎 昭夫 筑波大学, 芸術系, 教授 (80134253)
直江 俊雄 筑波大学, 芸術系, 准教授 (10272212)
|
キーワード | 芸術支援 / 美術教育 / 地域文化 / 市民参加 / 地域協働 / 美術館 |
研究概要 |
本研究は、第三の美術展(コミュニティ型アートプロジェクト)の方法論を用いた地域教育力を促進する手法を開発することを目的としている。25年度の研究実績は以下の通りである。 ①コミュニティ型アートプロジェクトの活用による地域教育力の開発…茨城県水戸市の公立小学校において23年度から継続して展開されているアートプロジェクト「放課後の学校クラブ」を実施した。25年度は、水戸市総合教育研究所に加え、水戸芸術館との協働でプロジェクトを遂行し、児童の自主性を尊重した地域教育の開発に取り組んだ。活動の成果は、26年3月に水戸市総合教育研究所より「放課後の学校クラブの教科書」として発行され、市内の放課後子ども教室事業の担当者等に配布された。また、24年度より東京都荒川区南千住に本拠を置くNPO法人千住すみだ川との協働で実施しているアートプロジェクト「隅田川妖怪絵巻」についても、地域住民や地域の小中学校との協働によって継続的にワークショップを実施している。研究成果として、スマートフォン用のアプリケーション「南千住百物語」を制作し、26年3月に一般公開された。今後は、研究期間中に開発された手法の普及を継続して行っていく。 ②成果報告書の作成…芸術支援研究の一助とするために、3年間の研究成果を踏まえた報告書の作成を行っている。今回の報告書では、理論と実践の両面からアートプロジェクトという現象を照射するために、研究者と実践者それぞれの立場からの寄稿を求めた。26年度の早い段階で発行・配布する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第三の美術展(コミュニティ型アートプロジェクト)の実践研究については、「放課後の学校クラブ」および「隅田川妖怪絵巻」の継続的な実施を通して、概ね順調に進展している。25年度は、水戸市総合教育研究所との協働により「放課後の学校クラブ」の教科書を発行し、NPO法人千住すみだ川との協働により「南千住百物語」を公開することができた。これらの成果をまとめた報告書を発行することで、研究成果をより広く社会に公開していくことが可能となるため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題が対象とした第三の美術展(アートプロジェクト)は、今もなお各地で新しく始まっている。地域振興の手法としては、一定の認知を得たと考えられるが、その一方で地域住民との乖離が生じている事例も少なくない。地域の外側に向けた観光イベントとしての機能だけではなく、地域住民にとっての学びの場としても機能させていくことができるように、研究の成果を社会に還元していくことが不可欠である。26年度に発行する報告書がその役割を担うことが期待される。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度中に報告書を発行する予定であったが、研究対象である「放課後の学校クラブ」の発表会が26年3月21日開催に日程変更となったため、プロジェクトの終了後に膨大な資料群を分析する十分な時間が取れないため、成果に関する報告書の発行時期を延期した。 26年度前半に当該研究課題に関する成果の報告書を発行する。
|