研究課題/領域番号 |
23520148
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斉藤 泰嘉 筑波大学, 芸術系, 教授 (40282347)
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研究分担者 |
岡崎 昭夫 筑波大学, 芸術系, 教授 (80134253)
直江 俊雄 筑波大学, 芸術系, 教授 (10272212)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | コミュニティ型アートプロジェクト / 第三の美術展 / 地域住民協働型美術展 / 放課後の学校クラブ / 地域教育力 / 芸術教育 / 芸術支援学 / 多様性のある人間関係 |
研究実績の概要 |
近年各地で実施されているコミュニティ型アートプロジェクトは、美術団体展や美術館主催による企画展とは異なる第三の美術展としてその地位を確立しつつある。これらは地域が会場となることによって、作品が地域コミュニティに対して開かれ、その結果地域住民の参加が誘発されていく点に大きな特徴がある。言わば地域住民協働型の美術展である。そこではアートを媒体とした多様な人間関係が生まれる。本研究はこの第三の美術展が持つと思われる「地域教育力」に焦点を当てることにより、第三の美術展が誰に何をどのように教えるのかを解明し、その力をさらに開発しようとするものである。特に事例研究として、水戸市立浜田小学校でのコミュニティ型アートプロジェクト「放課後の学校クラブ」のプログラムの参与観察を重点的に実施した。このアートプロジェクトは、アートという温もりのある文脈の中でこそ実現しうる教育プログラムであり、子どもは自分の中の子どもから少しずつ脱皮して成長し、おとなは自分の中の子どもをわずかながら取り戻す。この事例研究を通じて、地域での芸術文化活動の現場を共有することによって生まれる多様な人間関係や、地域の社会や自然の中で無意識のうちに培われる学び(人間的成長)を地域教育力とみなし、芸術による教育に新たな側面を見出すことができた。地域教育力の開発は今日の芸術文化政策や芸術教育の大きな課題であるが、これを実現するためには固定された人間関係の中でのみ完結する教育の場だけではなく、多様性のある人間関係の中で自ずと育まれていく学びの場を創造する必要があることを確認しすることができた。本研究を通じて、芸術による社会貢献を目指す芸術支援学の研究理念や方法を深化させることができた。最終年度である平成26年度には、以上の研究成果を『芸術支援研究2015』という冊子にまとめ、公開した。
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